金曜の夜に風邪を引く

決まりきらない想像の旅

別離の形

母方の実家が大分で、先日の大地震で被害の出た地域にあり、祖母が一人で住んでいる。母に様子を聞いてみた所、「連絡してないから分からない」と返って来た。

詳細は省くが、彼女には連絡を取らないだけの理由がある。しかし流石に、こんな時まで連絡しないとは思っていなかった。

学生の頃、年に3回は大分に遊びに行っていた。祖母が必ず作ってくれた酒粕のあんまんが、とても美味しかった。でも、母の頭越しに祖母に会う事も状況的にできず、恐らくもう、生きているうちに会う事はない。

こんな風に、大事だった人との別れが、縁の切れ目による心の別離なのと、肉体の死による身体の別離なのと、どちらが悲しいんだろうといつも思う。比べる質のものでない事を理解はしていても、心がその人の形の場所そのものを失うのと、その人の形の穴が開いてしまうのと、同じ人を2度失わなければ違いは分からない。

母の苦しみを母程は理解出来ないし、私の喪失感はそれを超えない。だから、和解しようよなんて自己満足な事は言えない。ただ何らかのきっかけで、その機会が巡って来る事を祈る位は許されるのかなと思う。