金曜の夜に風邪を引く

決まりきらない想像の旅

左目に映る星

幼い頃に得た強烈な共感を拠り所に孤独と共存していた主人公が、それを大事にしつつも、やがて人との違いを楽しみ、むしろそれに恋するようになっていくお話、に私には見えた。

孤独は理解されてしまうと、むしろ深まってしまうのかもしれないといつも思っている。それを認めてもらいつつも、過剰には共感されず、それぞれがそれぞれでありながらも一緒にいられる事が、ある程度成熟した大人の関係性であるような気がする。誤解も理解だと言っていた人がいたけれど、逆に言えば、共感は誤解の幸せな一致だ。それを否定した主人公の過去の恋人とは、別れて然るべきだったのかもしれない。

最後に主人公が閉じたのは両方の目で、片目では無かった。片目を閉じる事で守っていた心が、誰かとの共存で守られるようになるのなら、それは幸せな事なんだろうか。孤独も、片目を閉じる癖も消えないのかもしれない。でも、共感だけを拠り所にしていた頃よりも、世界を彩る色が増えていれば良いなと思う。