金曜の夜に風邪を引く

決まりきらない想像の旅

そこにある距離

先日、本当に偶然に、昔とてもとてもお世話になった方のお身内の方にお会いする機会があった。その方とお会いした場所から千キロは離れた場所で、偶然と言うには珍し過ぎる出来事だった。

その方にいただいた言葉で、今でも心に留めているものが沢山ある。時々思い出して、心を引き締められるもの。それがあるから今があるんだと、人生を救ってくれた方の1人です、とお身内の方に間接的にではあるけれど、お伝えする事が出来た。

当時からもう十数年以上抱えていた、通訳になるという夢を叶える事が出来た事も伝えられた。伝えられる機会がある事自体がありがたく、奇跡みたいな偶然に感謝した。

SNSで簡単に繋がれる今だけれど、それは曖昧な距離を分断し、繋がっているか繋がっていないかという状態のどちらかに明示的に分けてしまう。その二つの間にある、連絡は取ってはいなくても何となく相手を思っているような、そこはかとないありがたさを塗りつぶしてしまう。もちろん、こんな偶然をありがたがる事も減ってしまう。

SNSの便利さを否定はしないけれど、これまで通り、繋がりを求め過ぎない姿勢を続けようと思った。またいつか今回のような、素敵な偶然があるかもしれない。今ある繋がりを大事にして、遠い昔のそれを懐かしみ、いつか伝えられる言葉があるかもしれないと準備をしておく。距離を明示化しないこと、そこにある曖昧さ。それを改めて、大事にしようと思った。

あまり変わってない私を見て、あの方は何と仰るだろうな。その方の今の写真を拝見する事が出来たけれど、変わらない優しい笑顔だった。いつかまた、お会い出来たら良いな。同じような距離にある他の人にも、いつか言葉を届けられて、今を知る機会があると良いな。願わくばそれが、幸せなものでありますように。そう思わせてくれた、素敵な出来事だった。