金曜の夜に風邪を引く

決まりきらない想像の旅

報われるかは時の運でも

現在の職場で、外国人の雇用使用中止が決まったために、通訳職が総じて切られる事になった。ただ解雇通告は1ヶ月以上前にしなければならないという法律があるらしく、通告の日からほぼ何もしないまま、在籍だけする1ヶ月が始まる事になった。

申し訳程度の作業が与えられているものの、いつ次が決まって抜けるか分からず、また通訳作業自体はほとんどなく、こういう状況を作ったという申し訳なさからか上からの監視も緩く、通訳職の勤怠におけるモラルハザードが容易に起きてしまった。

昼休みを2時間取る、何がしかの理由をつけて仕事でもないのに1時間以上席に居ない。今までは通訳職は仕事がある時は基本的に席にいなかったので、不在が自然なのもあって、半ばやりたい放題になっている。

自分はと言うと、 振られた作業をさっさと終わらせて、でもそれを言うと次の作業が結構なボリュームを伴って速攻で飛んで来るので、現在の作業をこねくり回して品質を上げている。広いシマでぽつんと作業を続ける中、すごい集中力で作業を続ける別の通訳職の方がいらした。

私よりもはるかに難しくボリュームの大きい作業を、何の文句も言わず淡々と続けている。みんなどこ行っちゃったんだろうねーと笑いながら特に非難もせず、作業に対する質問ばかりが飛んで来る。環境に引っ張られてだらけそうになっていた自分の背筋が伸びる。混在する環境なら、取捨するのは自分だ。

因果応報なんて偶然の産物でしかないといつも思う。明確な因果関係を見出す事なんか出来ない。でも、この環境の中淡々と責務をこなす彼女の背中を追って行きたいと思う。報われる事と耐える事とに因果関係はなくても、それが自己満足でも、最低限の矜持は失わずに仕事をしたい。報われるかは、時の運でしかないと分かっているけれど。