金曜の夜に風邪を引く

決まりきらない想像の旅

【映画レビュー】美女と野獣

ディズニーと名のつくものは基本的に好きだ。アニメ映画版美女と野獣はその中でもトップランクに好きだ。二桁回は観直した映画で、初めて観た時にまだ高校生だった自分は、留学してディズニーアニメの声優になるんだと規模だけは壮大な夢を描いた事がある程度には好きだ。

その映画が実写化されると聞いて、半ば冷めた気持ちで楽しみにしていた。きっとあれ程の事はない、それなりに再現してそこそこの満足が得られるんだろう、別物として観よう、と変な覚悟をしていた、が。

正に「実写」化だった。アニメ版そのまま、本当にそのままの世界が3Dで広がり、落胆など微塵もする事もなく、テンポの良い見せ場が続いた。主人公は実写化以上の実写化美しさで、見とれるしか出来なかった。

ただ一つ、ガストンに愛嬌が感じられなかったのが悔やまれた。アニメ版と違う描き方で、その描き方から、「実写のガストンは徹底的な極悪非道」と設定している明確な意図を感じた。アニメ映画版ガストンはもっと、ヒロインへの一本気な愛ゆえの憎めなさがあった。ガストンの極悪非道さ故に物語が分かりやすくなった部分はあるのだけど、アニメ版は基本的に子供対象、映画版は大人対象と言う事なのかもしれない。あんな大人、子供は知らなくて良い。

アニメ版を観ていなくても好きでなくても、きっと楽しめる。観終わって、とても長く良質なアトラクションを体験した気分になれた。プロの本気がそこにはあった。あの大好きなアニメ版が実写化されてこうなって、本当に良かった。